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灰釉S飾刻文盂

春秋(前8世紀〜前5世紀)
高 10.0 cm 胴径 17.0 cm

Spring and Autumn dynasties (8th century BC–5th century BC)
H. 10.0 cm Torso Dia. 17.0 cm




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春秋時代に安徽省や浙江省など、華南地方でつくられた灰釉の盂です。脚部を除く器面全体に灰釉がかかり、弦文と点文が刻された肩部には、この時代の灰釉陶器の特徴とも云えるS字形の飾りが貼付されています。

様々な条件が合致したことで偶然に生まれた釉薬は、美感を高めるだけでなく、器を清潔に保つ、強度を補完するなど、陶磁器の用途を格段に広め利便性を上げました。そのため、西周後期以降、華南地方では大量の灰釉陶器が生産されるようになったと云われています。本作の底面に刻まれる窯印のような符号は、そのような状況下で一つの窯を複数の生産集団が使用していたことを示唆していると考えられます。

西周から戦国時代の灰釉陶は「原始青磁」とも云われ、ここから中国陶磁の粋である青磁釉が生まれます。無骨とも云える力強い造形、無作為に掛かる暗緑色の釉薬といった、青磁の初源的な美が満喫できる一品です。