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灰釉有蓋鼎

前漢(紀元前3〜2世紀)
幅 24.5 cm 高 20.2 cm 

Western Han dynasty
W. 24.5 cm H. 20.2 cm 




鍋型の器に三足がつき、両耳のような取手を有した「(てい)」は、新石器時代から見られる器形です。本来煮炊きのための実用的なものでしたが、殷周代になると華麗な文様で飾られた青銅製の特別な鼎が作られ、祭祀にも供されました。本作のように漢時代になると装飾性は抑えられ、実用性の高いシンプルな作例になります。

まさに祖型の銅器のような、非常に鋭い器形が目を引く作品です。胎はがっちりとして重厚な趣があります。このボリューム感は漢代の陶磁器ならではの魅力であり、同時代の器物は総じて大らかな作風を見せます。ただし、大量に生産されたせいか粗雑になる例も多く、本作のようなシャープさを持つ作品は貴重です。蓋の表面や胴上部は、焼成時に灰が溶けガラス質となった「灰釉」に覆われています。この灰釉は器物に艶と潤いを与える装飾効果と、耐水性を上げる実用性を備えています。

これら漢代の灰釉陶は浙江省周辺で生産されたと考えられています。漢代後半期に、この灰釉の技術が継承、改良され見事な青磁となり越州窯として花開くことになります。浙江省含む、江南地方には龍泉窯、南宋官窯と、美麗な青磁を焼いた窯が連綿と続きますが、漢代灰釉陶はその系譜に連なる点でも重要なものと云えるでしょう。