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黒釉青白斑文壺

中唐(8〜9世紀)
高 10.9 cm 胴径 18.1 cm

Mid Tang (8th–9th centuries)
H. 10.9 cm Torso Dia. 18.1 cm




黒釉の地に大きく青白斑の釉薬が流し掛けられた、不思議な色彩の魅力があるやきものです。大きく張り出した胴部を見ると一見豊かな壺のようですが、肩部に短く小さな注口が備えられていることに気がつくと、アンバランスでありながらも心地よく調和した姿に立体芸術としての面白みが感じられます。

本作の特徴的な青白斑を中国では「花釉」、日本では「海鼠釉」と呼んでいます。この花釉は中晩唐期に創始された新技法で、唐代に質の高い漆黒のやきものが作られるようになったことで、さらなる加飾を目指して開発されました。黒と青白のコントラストは目にも鮮やかで、高い装飾性があることは本作に見られる通りです。具象的な文様となる例は殆ど見られず、あくまで混ざり合う色彩による偶発的な芸術性を狙ったものと考えられます。

黒釉青白斑文磁を焼成した窯は華北一帯にありましたが、特に河南省の魯山段店窯が知られています。本作のやや褐色を帯び、荒めで胡麻の混じるような胎土は魯山窯のものと同種と考えて良いでしょう。