MAYUYAMA ONLINE COLLECTION
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黒釉青白斑文有蓋壺

盛唐(8世紀)
高 28.3 cm 胴径 22.8 cm

来歴

繭山龍泉堂.


所載

座右宝刊行会編『世界陶磁全集 11 隋・唐』小学館, 1976年, 図版98.
繭山龍泉堂『龍泉集芳 第一集』便利堂, 1976年, 図版312.




High Tang (8th century)
H. 28.3 cm Torso Dia. 22.8 cm

PROVENANCE

Mayuyama & Co. Ltd., Tokyo.


LITERATURE

Zauhō Press, Zui Tō [Sui and Tang] vol. 11 from the series Sekai Tōji Zenshū [Ceramic Art of the World], Shogakukan, 1976, pl. 98.
Mayuyama & Co., Ltd., Mayuyama, Seventy Years Volume One, 1976, pl. 312.






SOLD

独特の釉景色が印象的な万年壺です。豊かに張る肩から底部に向かってすぼまっていく造形の万年壺は唐時代を代表する器形です。初唐の頃はふくよかな丸い胴が特徴的でしたが、盛唐に入るとそれが縦長のプロポーションへと移行し、五代以降に見られるようになり宋時代に隆盛に至るエレガントさの萌芽が感じられるようになります。高台は、裾広がりのべた底撥高台です。万年壺は本来蓋を伴うものですが、時代を経て消失するものが多く、本作のように制作当初からの共蓋が残るものは稀少です。

造形には緊張感が感じられ、丸みのある端正な宝珠形の鈕と共に盛唐らしい美質が看取されます。また、蓋から胴にかけて、艶やかな黒釉の上に大胆に施された白濁釉が美しい青白色を呈している、幽玄的なグラデーションは本作の刮目すべき点の一つです。この藁灰釉を用いて青く呈色させる技法は、中国では「花釉」、日本では「海鼠釉」と呼ばれ、唐時代以降に生まれた新しい加飾技法です。

本作は、かつて繭山龍泉堂が扱った品で、世界陶磁全集にも掲載されています。造形、釉調、釉景色のすべての点において高い完成度を有する優品と云えるでしょう。