明末の嘉靖頃から官窯の需要増大によって、官窯作品を民窯に委託焼造させる、いわゆる「
上記のような事情から、民間の気風が流れ込んだ明末期の作例は文様が過多になりすぎ、時には繁褥であるとまで云われることも度々あります。しかし、この盤の主文様である八宝文は余白を生かした文様構成で描かれており、明末期の作例であっても上品で落ち着きがあり官作的な印象です。
八宝文は、元~明代磁器に連綿と見られる意匠です。金魚や宝瓶、法螺、蓮花といった仏教教義で尊ばれる文様を組み合わせたもので、吉祥的な意味合いを持っています。明末期には全ての工芸品に共通して吉祥文様を多用する傾向があり、それらを飾ることで身の回りを瑞気で満たそうとする気運が感じられます。