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黒釉堆線文水注

北宋〜金(11〜12世紀)
高 6.2 cm 幅 6.6 cm

来歴

安田靫彦(1884〜1978年)旧蔵.




Northern Song - Jin dynasties
H. 6.2 cm W. 6.6 cm

PROVENANCE

Collection of Yasuda Yukihiko (1884-1978).






SOLD

小品ながら品格のある姿は、まさにコレクターズピースという言葉が相応しい一品です。鋭く立った白線と艶やかな黒釉の対比は実にモダンな雰囲気を醸し出しています。絶妙なサイズ感、捻られた取手の造形、高台の端正さなど幾つもの見どころを備えており、どれも力強さと愛らしさに満ちています。

「白堆線文」は北宋頃から広く華北の諸窯で用いられた、白と黒の対比を狙った加飾法です。素地に白土を高く細く盛り上げた上から黒釉を掛け、白土が凸線になった上の黒釉は薄く透明になることで白い線状の文様となり、その他の部分は通常通り釉が濃く黒く発色します。白堆線文の類例は散見されますが金~元時代に下るものが多く、本作のように白線が明快で力強くシャープな作例はめったにありません。黒釉は高い透明感と艶があり、河南天目の漆黒に近いマットな黒というよりは、黒定窯のような上質な雰囲気があります。胎土の白さや薄手の作り、上記した黒釉の良質さは磁州窯やいわゆる河南天目と一線を画しており、近年研究の進む河南省当陽峪窯の作品に近似するものがありそうです。

作品の質の高さもさることながら、日本画家安田靫彦(1884~1978年)の旧蔵品で彼自身の箱書を伴うことも本作の価値を高めるものでしょう。安田靫彦は歴史画の大家として著名ですが、古美術蒐集家としても世に知られています。蒐集の分野は多岐にわたり、日本の埴輪から仏教美術、琳派、良寛、そして東洋古陶磁もそのひとつでした。1959年、靫彦75歳の時、良寛の書が掛けられた空間で古陶磁に囲まれ満面の笑みを浮かべている写真が遺されています。その中に本品が飾られており靫彦遺愛の品であったことが偲ばれると同時に、彼の表情から美術品蒐集の喜悦を感じずにはいられません。