「宋磁名品展 定窯 磁州窯」 白木屋, 1962年12月7日~12日, no. 11.
Sōji Meihin-ten Teiyō Jishūyō [The Exhibition of Song Ceramics, Ding ware and Cizhou ware], Shirokiya, Tokyo, 7–12 December 1962, no. 11.
北宋に定窯でつくられた瓜型水注です。胴部を瓜型にして肩に二重の圏線を刻む大変シンプルな佇まいに、輪花に整えられた蓋が愛らしさを加味しています。小振りな大きさと総体にかかる象牙色の釉色も相まって静やかな印象の一品です。
胴部を分割するように縦方向に刻線が入る水注は五代の頃から見られるようになりますが、瓜型のものは殊に宋代に入ってから多く見られるようになりました。そうした中でも、蓋が伴い、しかもそれが花弁形になっているというのは大変稀少です。また、胴部に細い複数の刻線をリズミカルに施しているのも珍しく、装飾性のある蓋と共に、シンプルな器体に絶妙なアクセントとなっています。
本作には、仕覆と杢の凝った箱が伴っており、茶道もしくは煎茶方で大切に受け継がれていたことが感じられます。また、昭和38年開催の宋代の定窯や磁州窯の一級品を一同に紹介した「宋磁名品展」にも出陳されています。