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青磁盞

越州窯
中唐(8世紀後半〜9世紀初)
高 3.6 cm 口径 15.2 cm

来歴

John Hadley Cox(1913〜2005年)旧蔵.
Yale University Art Gallery, コネチカット, 1942年収蔵.




Yue ware
Mid Tang (Latter 8th century-Early 9th century)
H. 3.6 cm Mouth Dia. 15.2 cm

PROVENANCE

John Hadley Cox (1913–2005) Collection.
Yale University Art Gallery, Connecticut, accessioned in 1942.






中唐期に越州窯で焼成された青磁の(さん)です。高台から口縁にかけて直線的に立ち上がるライン、低めの器高、端正に削られた幅広の蛇の目高台といった特徴を有しています。蛇の目高台は、越州窯盞の特徴の一つでまさに本作が作られた時代、安史の乱後の中唐頃から見られる特徴的な形状の高台です。

本作の釉色は、現在は痂せて変色した部分もありますが、青色が残る部分には、青磁の中でも最も美しいと云われ法門寺出土の青磁に見られる「秘色(ひそく)青磁」にも通ずる釉色が見て取れます。

中唐は、中国の窯業が盛んになり、様々な窯で多様なやきものがつくられた時代であり、続く「宋磁」に向けて技術と洗練度が共に高まり始める起点の時期です。そうした当時の陶磁器生産の活況は、中唐に書かれた陸羽による『茶経』の中にも見て取れます。その中には様々な窯で焼かれた茶碗を比較している記述もあり、越州窯の青磁碗も登場しています。陸羽曰く、外反しない口縁、広く浅い見込み、お茶の色を美しく見せる釉色といった特徴を持つ越州窯の青磁碗は上品(最高)であるとし、中国人にとって神聖な美の象徴である玉に例えて讃えています。

ぜひお手元で中唐の風をお愉しみください。