小山冨士夫(1900〜1975年)箱書.
Box inscription by Koyama Fujio (1900-1975).
隋時代、華北の窯で焼成された北方青磁の双耳壺です。後漢末より盛んになる越州窯(古越州)による青磁の焼造は、華南の複数の窯場をも刺激したようで、5世紀には華南全域で青磁が焼かれるようになります。華北では、青磁は長らく華南からの輸入に頼っていましたが、6世紀頃より活発に造られるようになります。本品はそういった時期の作品です。
釉調は茶系の黄緑色で下地に白化粧が施されています。同時期の南方の作例と比べ、重厚なつくりが特長で、肩に付く耳も太くがっちりとしています。いかにも青磁生産が最盛期を迎えたという雰囲気が伝わってきます。
北方青磁は6世紀から7世紀初めの作例が殆どで、焼成時期が短くマニアックな存在なため、一部の愛好家からは高く評価されてきましたが、一般にはまだまだ認知されていません。しかし中国陶磁史上は大切な存在なため、今後、より一層みなさまに愉しんでいただけたらと思っております。
著名な陶磁史研究家である小山冨士夫による箱書きを伴なっています。