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琺瑯瑞果花文盤

清(18世紀)
高 4.3 cm 径 30.0 cm

来歴

ドイツ人蒐集家旧蔵.




Qing (18th century)
H. 4.3 cm 径 30.0 cm

PROVENANCE

German private collection.






ターコイズを思わせる青地を背景に、緑、ピンク、赤、白など多彩な色が駆使された非常に華やかな琺瑯(ほうろう)(七宝)作品です。中国史の中で最も技巧が極まった清時代には様々な工芸品が製作され、この琺瑯の分野でも優れた品々が作られました。

明代以降に琺瑯は盛んに作られましたが、金地の枠板を輪郭線としてその中にガラス質の釉薬を充填、焼成する「有線七宝」という技法を用いた作例が隆盛をみせました。本作もこの手法で作られており、金属を自在に操り芸術へと昇華させた高い技術が看取されます。この細緻な技法や鮮やかな色彩感覚は、イスラームの美術工芸より伝播し発達したものと考えられており、東洋的ではないどこかエキゾチックな香りが漂う魅力があります。

描かれた文様は極めて中国的な吉祥図様です。多産、豊穣、富裕といった象徴である柘榴などの瑞果花、そこにユーモラスな昆虫がバランスの良い構図で表されています。どれも様々な寓意を持っており、吉祥を暗示するものです。果実や葉には微妙なグラデーションが施されており、清代の優れた技巧が感じられます。背面は、前面と対照的に杏の花が巧妙に配された楚々としたデザインでこちらも見所と云えるでしょう。

琺瑯作品は日本に優れた作品が少ないために愛好者が多くありませんが、非常に格調高い工芸品です。是非実見して頂き、その魅力に触れて頂きたいと思います。