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黄地緑紫彩牡丹文盤

景徳鎮窯
明 萬暦在銘(1573〜1619年)
高 2.6 cm 口径 14.4 cm

来歴

H. R. N. Norton(〜1961/62年)旧蔵.
Sotheby’s, ロンドン, 1963年3月26日, Lot 67.
Bluett & Sons Ltd., ロンドン, 1963年.
Roger Pilkington(1928-69年)旧蔵.


所載

Adrian M. Joseph『Ming Porcelains: Their Origins and Development』Bibelot Publishers Ltd., 1971年, 図版87.




Jingdezhen ware
Wanli mark and period
H. 2.6 cm Mouth Dia. 14.4 cm 

PROVENANCE

H. R. N. Norton (d. 1961/62) Collection.
Sotheby’s, London, 26 March 1963, Lot. 67.
Bluett & Sons Ltd., London, 1963.
Roger Pilkington (1928-69) Collection.


LITERATURE

Adrian M. Joseph, Ming Porcelains: Their Origins and Development, Bibelot Publishers Ltd., 1971, pl. 87.






緑釉、黄釉の発色が非常に鮮烈で、実に華やかな萬暦官窯作品です。特に緑釉の溜まった部分は良質の翡翠のようで、人工の宝石を思わせる美しいものです。今焼き上がったかのような抜群の釉薬はよく溶けて、上質な天目茶碗に現れるような虹彩が見られるほどです。嘉靖萬暦の頃になると、地を埋め尽くすように多色で以って器を飾る「雑彩」という技法が隆盛をみせます。本作は文様を線刻で区画し、黄釉で全体を塗った上から緑釉、紫釉で加飾されています。古銅を思わせる花瓶から伸びやかに咲き広がる牡丹は、富貴の象徴とされる文様で万暦らしい吉祥に満ちた意匠です。

磁胎は薄造りながらしっかりとした芯が感じられ、緊張感を有した造形は官作ならではのものがあります。萬暦官窯というと嘉靖期に始まる「官統民焼」という委託焼造がなされたことで、官と民の境目が曖昧となり作行の低下する時代とも云われます。しかし政治の荒廃する以前、萬暦前半期は上質で格調高い官窯作品は存在しており、本作のような優品はそのような例に当たるものと考えられます。

本作のような雑彩の牡丹文盤の類例としては、大英博物館にあるデイヴィッドコレクションに30cmほどの大きいものが知られています。またより小さなサイズの類例も存在し、数種類のサイズ違いで制作されたものと考えられます。いずれのものも遺例は世界に数点が残るのみで貴重な作品で、ギメ美術館やバウワーコレクションにも同手品が所蔵されています。本作品も旧蔵者 Roger Pilkington(1928~1969年)が、Bluettから1963年に本作品を入手したという来歴を持ち、美術館蔵品と同様に古く欧州へ渡った一点と考えられます。