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加彩女子

前漢(前2世紀〜前1世紀)
高 34.6 cm(台含む)

出展

「漢代の美術」大阪市立美術館, 1974年.


所載

大阪市立美術館編『漢代の美術』平凡社, 1975年, 図版114.




Western Han dynasty (2nd century BC–1st century BC)
H. 34.6 cm (including stand)

EXHIBITED

Kandai no Bijutsu [Arts of the Hang], Osaka City Museum of Fine Art, 1974.


LITERATURE

Osaka City Museum of Fine Art (eds.), Kandai no Bijutsu [Arts of the Hang], Heibonsha, 1975, pl. 114.






古代中国において、死後の墓中で被葬者に仕えるための土偶、俑を副葬する風習がありました。最も著名なものは、秦の始皇帝による「兵馬俑」でしょう。秦に続く漢時代にも厚葬の風は引き継がれ、本作のような作品が多数作られました。中でも、宮女を模したと思われる女子俑は比較的多く見られます。これらの陶俑が20世紀初頭に中国が鉄道敷設工事などで開発され世に現れると、その造形性の高さを評価した欧米や日本の蒐集家によって、たちまち鑑賞陶磁の一ジャンルとなりました。

漢代俑の特徴は、シンプル化された造形でありながら、ものの本質を捉えた強さを持っているところにあります。顔は僅かな窪みによって目鼻立ちが表されているのみで、感情を抑制された姿は官女としての敬虔さを示しているようでもあります。立ち姿には自然な魅力があり、特に少し斜めから見た時に美しい身体の曲線が良さが際立ちます。着色された赤や胡粉の白、革ベルトの黒色なども華美な誇張や派手さはありませんが、その分そこはかとない魅力を漂わせる作品と云えます。


俑を含む漢時代のやきものは、近年の中国の発展に伴い1990年頃から香港経由で大量に玉石混交の品々が市場に流れ込んだことで、評価の難しいものとなってしまいました。しかし、古くから伝わる品々にはどこか落ち着いた雰囲気があり、それらのものとは一味違ったもののように感じられます。本作は1976年に大阪市立美術館で開催された「漢代の美術」の出陳作で、蒐集の基準とするに相応しい作品と思われます。