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青銅雁足灯

前漢(紀元前2世紀〜紀元1世紀)
高 15.8 cm

所載

「中国美術展シリーズ1 漢代の美術」大阪市立美術館, 1974年, 図版 2-63.




Western Han
H. 15.8 cm

LITERATURE

Chūgoku Bijutsuten series 1: Kandai no Bijutsu, The Osaka Municipal Art Museum, 1974, pl. 2–63.






前漢時代に作られた青銅製の灯火器です。眼を惹くのはユニークな造形で、灯油を入れる円形の上部に、鳥の足を模した脚部が付いています。この器形は「雁足灯(がんそくとう)」と呼ばれ、漢代に流行した形式ですが、遺例は極めて稀なものです。

三つ又に開いた足は鋭い爪で大地を掴み、質実剛健さに溢れています。薄い高肉で繊細に鋳出された(みずかき)や、三角の後指の表現に、実物に即した確かな観察眼が看取されます。関節部分から前傾しており、前へ踏み出す推進力のようなものも感じられるようです。手取りはずっしりと重く、漢代美術の重厚さを示すとともに、転倒を防ぐ実用への配慮を感じられます。本作は写実性とデザイン性の調和が絶妙で、現代の彫塑作品にも通ずる美質を有した佳品と云えるでしょう。

この雁足灯は古く龍泉堂で扱った品物で、当時の木台が付属しています。また、1974年に大阪市立美術館で行われた中国美術展「漢代の美術」の出陳作で、数々の名品と並んで印象的な一品です。漢代の美術品は、嘗て中国美術を代表するものとして珍重されていました。しかし中国の開発の進んだ1990年前後から、真贋の難しい品々が新たに市場へ流入したことで、その人気は下降線を辿っていました。それでも本作のような戦前期の出土と考えられるオールドコレクションは、不思議とそれらと一線を画する悠然とした雰囲気を讃えており、一段評価の高いものとなっています。