ドイツ人蒐集家旧蔵.
Christie’s, ロンドン, 1995年.
German private collection.
Christie’s London, 1995.
初唐につくられた三彩の扁壺です。2枚の合わせ型成形の平たい胴体に裾広がりの脚部が付き、両肩には環状の耳が付いています。胴部全体に隙間無く施された型押しのパルメットの唐草文は型抜けが大変よく、口縁から胴にかけてたっぷりと施された三彩釉も美しく発色しています。
このような扁壺では、北斉期の范粋墓(武平6、575年)から出土した黄釉で人物文が施されたものがよく知られていますが、その後も南北朝から隋と継続して作られていました。それらの祖型はササン朝ペルシアの銀製品にあると考えられています。本作はその流れを汲む器形であることを踏まえると、三彩施釉陶の中でも初期の頃に作られたものだと考えられ、エキゾチックな西方の薫りのする唐らしい華やかさが愉しめる一品です。