清時代康熙年間に景徳鎮でつくられた五彩です。胴部上下に擂座が一周めぐらされ、愛らしい犬型の紐がついているなど、凝ったつくりとなっています。また、ティーポットという器形にも目が惹きつけられますが、素地の白さ、整った画面構成、丁寧に引かれた描線、発色の良い五彩といった康熙五彩の特徴、そして空を飛ぶ鳥と視線を合わせる水鳥の愛らしい表情など、絵付け鑑賞も愉しんでいただける一品です。
明時代末から清時代初めにかけて、多くの青花や五彩磁器が中国からヨーロッパや東南アジアに向けて輸出されました。そして、ヨーロッパに渡った中国陶磁には、彼の地で金具をつけられてランプ、燭台、調度品などとして使用されたものが少なくありません。本品もそうしたものの一つで、太鼓を模した蓋付の碁石入れに真鍮製の把手と注ぎ口を付けてティーポットとして使われていた品です。