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黄釉褐彩水注

長沙窯
晩唐(9世紀)
高 17.4 cm 胴径14.6 cm

Changsha ware
Late Tang
H. 17.4 cm Torso Dia. 14.6 cm




膨らみ豊かな胴部と、金属器的な鋭さを感じさせる短い頸のバランスが絶妙な水注です。短い注口は面取りされ、一面ずつ褐釉で彩られています。長沙窯の水注によく見られる寸胴で変化の少ない形式のものとは異なり、本作は肩が張り裾へ掛けて引き締まるプロポーションの良いものです。肩に付くアーチ状の耳や、どこか異国的な香りが漂う鳥唐草文の把手は貼り付けの技法で、造形の良いアクセントとなっています。

黄緑釉磁の地の上に、所々褐釉でリズミカルに加飾されています。簡便な配色ですが、それがかえって自然で心地よい装飾効果を生んでいます。長沙窯の作品はやや軟質で釉の固着が甘く脆いために、剥落や欠落のあるものが散見されます。本作も口縁部や注口などに補修がありますが、全体的な釉薬などの状態は良好と云えます。

また、長沙窯は東南アジアや西アジアへ向けた輸出窯という性格を持っており、遠くイランなどでも多く作品が出土しています。異国の注文に応えるために、彫塑的で豪華な貼り付け文様や、中国陶磁史上画期的な陶磁器への下絵付の彩絵を駆使し、新たな美質を生み出した窯として高く評価されるべきでしょう。近年出土した品が市場へ流入して価格が下落してしまったために、長沙窯作品を顧みる方が少なくなってしまったようですが、優品の魅力は失われていません。本作は長沙窯の良さを非常に良く伝えておりますので、一度実物をご覧頂ければと思います。