盛唐時代の三彩の杯です。一般的な杯より一回り大振りですが、唐三彩の杯ではこのサイズのものがしばしば見られます。大変端正な器形をしており、高台もとても丁寧に削られています。杯の内側全体に施された緑釉と褐釉は、口縁を超えた辺りまで外側へと続いています。
本作の特筆すべき点として、釉調の美しさがあげられます。特に本作に見られる透明度が高く淡い色調の緑釉は、比較的早い時期の唐三彩にしばしば見られるものなので、本作も初唐から盛唐、7世紀頃まで遡れるかもしれません。また、よく焼き締まっているきめ細かい胎土、シャープなつくりの高台も本作の特長と云えるでしょう。是非、実際にお手にとってご覧いただきたい一品です。