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スリップウェア楕円皿

18世紀後半〜19世紀
高 6.9 cm 長 35.6 cm

所載

『スリップウェア』誠文堂新光社, 2016年, 図版104.




Late 18th–19th century
H. 6.9 cm L. 35.6 cm

LITERATURE

Slipware, Seibundō Shinkōsha, 2016, pl. 104.






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このスリップウェアは18世紀後半~19世紀頃のイギリスの作で、パイなどのオーブンで焼く調理の際に使われる日用の器として作られました。実用に耐えるために胎は分厚く堅牢な作りをしており、日々の食卓に供されたものと思われます。

黒褐色の地に、黄線で描かれた抽象的な文様にこの作品の魅力があります。イギリス陶器を代表するスリップウェアは、その名の通りクリーム状のスリップ(化粧土)を用いて簡略ながら変化のある文様が施されることが特徴で、本作でも(てら)いのない線の奔放さと勢いが見所と云えます。17世紀頃には鳥文など手の込んだ文様が作られていましたが、時代を経るにつれて製作の手間を省くためにデザインはシンプルに変化します。文様が簡潔になったことでかえってスリップウェアは洗練され、ある種現代美術的な抽象性を内包することになりました。器に対して斜め描かれる構図も独特で、面白みが感じられます。表に対して裏面は装飾を排した無地、無釉の無骨な作りで、素朴な味わいが残っています。

スリップウェアは、近代に民藝運動の主唱者である柳宗悦(1889〜1961年)によって見いだされ、イギリスの風土に根ざした民衆芸術の一つの形として再評価がなされてきました。上記のような親しみやすさと現代的な美質を有するために、今後ますます人気が高まる分野と云えるでしょう。