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石鉞

新石器時代(紀元前40〜31世紀)
縦14.3 cm 横 10.4 cm

来歴

Armand Trampitsch(1890〜1975年)旧蔵.
1985 年5月30日, Ader Picard Tajan, 東京, Lot 31.
Myrna and Samuel Myers旧蔵.


所載

Filippo Salviati, 『Radiant Stones: Archaic Chinese Jades』香港, 2000年, 図版 23.




Neolithic Period
L. 14.3 cm W. 10.4 cm

PROVENANCE

Collection of Armand Trampitsch (1890–1975).
Ader Picard Tajan, Tokyo, 30 May, 1985, lot 31.
Collection of Myrna and Samuel Myers.


LITERATURE

ilippo Salviati, Radiant Stones: Archaic Chinese Jades, Hong Kong, 2000, pl. 23.






SOLD

紀元前4000〜3000年くらいに長江下流域で作られたと考えられる石(えつ)です。鉞とは大きな刃を持つ薄手の斧で、中国各地で、前5000年頃から、美しい石を用いて作られていました。鉞は権力者の力を誇示する重要な武器であったため、威厳があり、畏怖の対象であることが望ましく、そのような点において、本品は申し分のない格調を備えているといえます。

前3000年頃からは、良渚文化において鉞の材料に玉が盛んに用いられるようになり、石鉞と並行して玉鉞も多く作られました。しかし、造形の力強さは減じていく傾向にあり、石鉞においてその傾向はより顕著で、形骸化が進み、材質も粗野になっていきました。そういった点、本作は緩みや形骸化のほとんどみられない完成度の高い造形を誇り、かつ美しい淡緑色の石を選んで作られており、新石器時代の石文化のレベルの高さが窺えます。おそらく、鉞という形状の美術的ピークは、良渚文化以前にあったと考えられ、崧沢(しょうたく)文化及び薛家岡(せつかこう)文化などがそれにあてられそうです。      

本品はそのような時期から良渚最初期にかけての遺物と思われ、その後の良渚の石鉞のように、大量に墓中に入れられるものとは異なり、一墓につき一器、被葬者の腹部の中心に安置され、重要な器物として慎重に用いられていた時代のものです。従って量産的気分は皆無で、品質に細心の注意が払われており、それが本品のもつ品格の高さにつながっているといえます。

Armand Trampitsch(1890〜1975年)の旧蔵品で、1985年にフランスのオークションハウスが東京で催した競売に出品されています。

古代文明の格調の高さと崇高さを遺憾無く宿した一品です。置くとその場が鎮まるような雰囲気があり、神聖な器物であることを感じさせます。鉞は本来は武器であるため、軟玉の一種である玉よりも硬質の石の方が、より意味合い的には合致します。石器は玉器よりも高い評価があたえられないのが常ですが、玉器の隆盛以前の特別な石器は、並の玉器では達しえない、高い芸術性に到達している点で刮目しなければならないようです。