やや黄味を帯びた白磁盤は、定窯の代名詞とも云える象牙のような魅力を持っています。特に優れているのは見込みに彫られた龍文で、非常に繊細な彫りで大変技巧の優れた品と云えるでしょう。龍文様の定窯作品は数少なく、Sir Percival David Foundationの鉢などが知られています。
宋時代には各地に名窯が生まれ、陶磁器の百花繚乱と呼べる時代でした。その中で、白磁に於いて最も名高い窯が河北省に位置する「定窯」です。定窯磁の五代~北宋期に作られた作品の中には「官」という文字が刻まれる例があり、半官窯的な性格を持っていました。台北故宮博物院にも多くの定窯作品が遺されており、歴代皇帝達をも魅了し続けてきたものと考えられます。
格調高い定窯白磁は現在の市場でも高い人気があり、中国陶磁蒐集家垂涎のものと云えるでしょう。