康熙年間に景徳鎮で焼成された杯と托のセット(カップアンドソーサー)です。康熙年間に焼造された五彩を康熙五彩といい、その繊細で精緻な絵付けは、それまでの五彩とは一線を画するものがあります。輸出磁器としての性格がつよかったため、東インド会社などを通して、その多くがイギリスやヨーロッパ諸国にもたらされました。
本作は、おそらく紅茶用の食器として用いられたもので、外側に黄茶色の釉薬を掛け、その上から絵付けを施すことにより、余白部分に黄茶色が表れるようになっています。欧米のコレクターやディーラーからは、“カフェオレ”と呼称されている康熙五彩のタイプになり、通常の余白が白いものに比べ五分の一以下の流通量かと思われます。
康熙五彩は、絵が緻密なものと比較的粗いものがあり、作行で多少の時代の前後があるようです。本作は前者にあたり、繊細な筆致で描かれた花蝶が美しく、実際に紅茶を入れて愉しみたくなるような作品です。