とても艶やかな釉色と、ゆったりとした大きさが目を引く黄釉の鉢です。11世紀に内モンゴルを中心とした中国の北方に建国された遼で焼成された作品です。端反りの口縁から底部に向かって緩やかな曲線を描く器形で、高台は高く、しっかりと堅牢な作りをしています。発色が美しい黄釉は、外側面の腰上までたっぷりとかけられており、とても華やかな印象を醸し出しています。
遼では、建国当時は白磁、青磁などの陶磁器を中国から輸入していましたが、需要に追いつくために、まもなく国内でも陶磁器の生産を開始しました。総体的に遼磁は北方民族の好みを反映しているためか、鮮やかな釉色と大らかな作行きが特徴と言われていますが、本品は宋磁にも見劣りしない整った作行きの佳作と云えるでしょう