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青銅饕餮文觶

西周(前11〜前8世紀)
高 15.5 cm 口径 8.0 cm

来歴

繭山龍泉堂, 1970年代.




Western Zhou dynasty (11th–8th centuries BC)
H. 15.5 cm Mouth Dia. 8.0 cm

PROVENANCE

Mayuyama & Co., Ltd., Tokyo, in 1970s.






SOLD

西周時代の初期に作られ、酒杯として用いられた()という器です。口縁部は薄くシャープで切れ味があり、全体は優美にS字を描く縦長のフォルムは現代でも通用する美しい造形で、殷周時代の優れた造形感覚には古さを感じさせない普遍的な品格があります。胴部には殷代によく見られる神獣を象った饕餮(トウテツ)文が表されていますが、殷時代の直線的で厳格な饕餮文と比較すると、表現が柔らかく曲線的になっているところに差異が見られます。銅が経年を経て酸化することで発生する緑青も嫌味がない自然な趣きがあり、鑑賞のポイントとなっています。

觶は殷時代を中心に流行を見せましたが、西周前期には同じく主要な飲酒器であった()と共にほぼ姿を消すため、祭祀の様相が変化していったと考えられます。そのため周初の觶は数が少なく、貴重な作例となっています。文様構成に関しても殷代には主神が饕餮文でしたが、周代に入るとその饕餮の扱いは小さくなっていきます。その点においては、本作の饕餮は殷代と同様に主文様として配されており、前代に通じる要素を多分に持った所謂「殷末周初」と呼ばれる時期にかかる品と考えられるでしょう。

龍泉堂でかつて扱った品物で、時代のある唐木の台が付属しています。