G.F.Giaquili Ferrini旧蔵.
G.F.Giaquili Ferrini Collection.
全面に非常に細かな布目文が付けられた焼き締め陶器です。中国の戦国時代(紀元前5~紀元前3世紀)に作られました。飾り気のない小品ですが、不思議と存在感が感じられるやきものです。口縁部は一段と薄くなっており、微妙なラインの変化によって器形が単調になることを防いでいます。底部はやや凹凸のある平坦で素朴な作りです。
旧蔵者Gian Francesco Giaquili Ferriniはイタリアのコレクターです。高名な陶磁研究者であった小山冨士夫氏が「イタリーで特にすぐれている東洋古陶磁の蒐集はフェリニ家のコレクションである」「邸宅の二室が東洋古美術の小博物館となっており、彩陶、漢磁、六朝俑からはじまって、唐宋の名品がざっと二百点ほど列んでいる」(『古美術』1963年より)と述べており、往時のイタリアを代表する東洋美術蒐集家だったようです。本作からも氏の趣味が感じられるようです。