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青磁柑子口瓶

隋(6〜7世紀)
高 27.7 cm 胴径 14.0 cm

Sui dynasty (6th-7th centuries)
H. 27.7 cm Torso Dia. 14.0 cm




隋時代の陶磁器は独特な風格を持っています。六朝時代に南の越窯を中心に発展していった青磁は、北朝時代には北方でも作られるようになり、隋代になるとかなり質が高い洗練された陶磁器となりました。またこの頃に本格的な白磁も完成しています。南の古越磁にはどこか温和な風情が感じられますが、隋の陶磁は緊張感があり質実剛健といった印象があります。

本作からも重厚な雰囲気がよく看て取れます。実際胎土は厚みがあり、手取りもしっかりとした重さです。高台は中央がやや窪んだシンプルなものですが、高台際の削りは厳しく細部まで抜かりありません。口縁が大きく膨らんだやや特殊な器形は古代の青銅器を範とした形状で、蜜柑の実のような「柑子口」瓶や、ニンニクのような上部という意の「蒜頭」瓶と呼んでいます。一風変わった形状ながら不思議と全体は調和しており、作者の優れたデザインセンスとバランス感覚を今に伝えています。

釉はよく溶けた硬質な青磁で、面白いことに一筋の青斑が頸部から胴に伸びこの瓶の見どころとなっています。藁灰釉が自然に溜まった偶然の産物ではありますが、美的な効果を上げています。またこの偶然の青がのちの鈞窯釉にも繋がるような、色々な示唆に富む作例です。