薄い青色が爽やかな印象のガラス作品で、東地中海沿岸の作例と思われます。壺型の部分は口縁から高台に至るまでしっかりとした作りでありながら、その上部には対照的に軽やかな帯状の装飾が貼り付けられています。
古い時代のガラスの多くは型を用い鉱石や金属を模範としたような重厚さを備えていましたが、紀元前1世紀頃に宙吹きガラスが発明されるとより自由度の高い造形が低コストで大量に作られるようになりました。本作に見られるような帯状の貼り付け技法はガラスの可塑性を最大限に生かしたものと云えるでしょう。