マユヤマオンラインコレクションロゴ
Loading...

ガラス尖底瓶

ペルシア パルティア期(2〜3世紀)
高 17.3 cm 胴径 8.6 cm

来歴

井上恒一(1906〜1965年)旧蔵.


所載

繭山龍泉堂『龍泉集芳 第二集』便利堂, 1976年, 図版633.




Parthia empire, Ancient Iran (2nd–3rd centuries)
H. 17.3 cm Torso Dia. 8.6 cm

PROVENANCE

Tsuneichi Inoue (1906–1965) Collection.


LITERATURE

Mayuyama & Co., Ltd., Mayuyama Seventy Years Vol. II, Benrido, 1976, pl. 633.






SOLD

現在は経年によって全体が白く覆われていますが、所々に残る色彩は美しい海のような深い青色や、虹のような幻想的な煌めきを見せています。古代のガラス工芸は人工の奇石のような存在でありました。まさに本作の美しさを見た時に感じられる感情は、自然の景物を目にした時の感動に近いものがあると云えます。帯状の装飾が全面を覆っていますが、器体に沿うヴェールのように非常に繊細です。また手にした際の重さも非常に軽く、薄作りであることが分かります。

人工的なガラスは紀元前3,000年頃に古代オリエント地域で生まれたと考えられています。広範囲かつ長い歴史の中で連綿とガラス工芸が作られており、本作はペルシア・パルティア期の作として伝わっていますが、シリアやその他の地域の可能性もあります。またこの形状は類例が殆ど無く、時代に関してもやや古い時代の雰囲気も感じられます。

旧蔵者井上恒一(1906~1965年)氏は、美術に対して非常に深い見識を持った蒐集家でした。中国古陶磁を主としながら日本や韓国、さらにオリエントまで広範な地域の様々な美術品を蒐集しており、旧蔵品には高い美質と学級的な態度が感じられます。本作も類例は見られずとも美術品としての質は極めて高いものがあり、まさに氏の慧眼に適うものでしょう。また、井上夫人も本作のような中近東の文物を特に愛好したようです。