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色絵雉松竹梅文皿

有田 柿右衛門様式
江戸(17世紀)
高 4.3 cm 口径 18.4 cm

来歴

Richard de la Mare(1901~1986年)旧蔵.


出展

「Loan Exhibition of Japanese Porcelain」The Oriental Ceramic Society, ロンドン, 1956年, no. 62.


所載

「Transactions of the Oriental Ceramic Society 1945–1946 Vol. 21」Shenval Press, 1946年, 図版 9c.




Arita ware, Kakiemon style
Edo (17th century)
H. 4.3 cm Mouth Dia. 18.4 cm

PROVENANCE

Richard de la Mare (1901–1986) Collection.


EXHIBITED

Loan Exhibition of Japanese Porcelain, The Oriental Ceramic Society, London, 1956, no. 62.


LITERATURE

Transactions of the Oriental Ceramic Society 1945–1946 Vol. 21, Shenval Press, 1946, pl. 9c.






江戸時代前期17世紀中頃に有田で焼成された柿右衛門様式の皿です。口縁には、夫々に松竹梅を描く窓絵を配し、その間を細かな四つ割菱文で埋めています。大きく余白を取った見込みには、枝に留まる雉が黒の輪郭線と黄、緑、紫、青、赤の彩色で描かれています。その色絵の深みある色彩と素地の白、口縁の細密な幾何学文と見込みの大きく取られた余白など、対比を効果的に活かした文様構成となっています。裏面には、高台周りに赤彩の圏線、高台内に緑彩角福銘が入っています。

一般的に知られる柿右衛門様式の作品は、濁手(にごしで)と呼ばれる乳白色で透明度の高い素地、明度の高い色絵の彩色、そして繊細な絵付けが特徴とされています。しかし本作では、素地も濁手とは若干異なり、彩色も深みある色調となっています。また、盛期の柿右衛門では見られない緑彩の角福銘が高台内に記されています。このような特徴は、本作が古九谷様式から枝分かれして間もない頃の初期の柿右衛門様式の作であることを示唆しています。磁器焼成開始から僅か数十年しか経過していない頃、新しいスタイルを作りだそうとしていた時代ならではの陶工たちの想いが感じられる作品です。

本作は、Richard de la Mare(1901〜1986年)旧蔵です。詩集や東洋美術専門書の出版で知られるFaber & Faberの共同経営者であるDe la Mareは、当初、中国陶磁のコレクションをしていましたが、知人に勧められて日本陶磁の蒐集も始めました。そのコレクションは、1956年にOriental Ceramic Societyが開催した日本陶磁の展覧会にも出陳されています。