Johan Lind(1934年~)旧蔵.
Johan Lind (1934-?) Collection.
初唐から盛唐の頃につくられた三彩の丸壺です。器面に白化粧が施され、その上に褐釉と緑釉が掛けられています。球形の器体は端正かつ豊かに造形された唐らしい形状です。底面は丸底で、露胎となった底面の胎土はきめ細かく精錬された白味の強い土だったことがわかります。
こういった三彩丸壺は、初唐から盛唐にかけて流行しました。白、茶、緑、藍など多彩な色釉が器面全体を面的に彩るように施釉されている釉景色のものが多い中、本作のように白地を活かし色釉を効果的に配置するパターンはあまり見られないとても珍しいものです。貼花と呼ばれるアップリケを貼り付ける技法が北朝〜初唐期に流行しますが、さながらその色釉版といった印象です。また、三彩壺は底面にかかるほど施釉されているものが上手とされていますが、本品はそうした特徴も供えた一品です。