白土を用いた素胎に釉薬をかけ焼成後に加彩を施す黄釉加彩は北斉頃から焼成が始まった白磁に連なる技術で、釉薬に残った微量の鉄分が酸化して黄白色を呈しています。この手法は白い地肌に多様な色彩が際立つため、灰黒色の陶胎に直接加彩をした厳かな趣のある北朝期から華やかな唐代への移行が感じられます。そのような過渡期特有の面白さがこの陶俑の魅力と云えるでしょう。
本作は北朝系の要素を受け継いだ線的で筒なりの造形をベースにしながら、そこに加えて自然な立体感があります。無駄がなく細部のゆったりとした唐俑らしい曲線により素朴さと洗練された品格の均衡が看取されます。両手の穴に何を差していたかは判然としませんが、左右の均整が絶妙でどこか儀礼的な格調高い印象を与えています。なにより、稚児のような明朗で無垢な表情には鑑賞者に思わず笑みをこぼさせてしまう魅力があり、本作に確かな生命感を宿しています。そばに置いて愛でたい優品です。