MAYUYAMA ONLINE COLLECTION
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白磁碗

邢州窯
晩唐 (9世紀)
高 4.9 cm 口径 15.3 cm

Xingzhou ware
Late Tang (9th century)
H. 4.9 cm Mouth Dia. 15.3 cm




低く直線的に立ち上がる側面のラインが特徴的な晩唐期に邢州窯でつくられた白磁碗です。全体的に厚みがあり器面は滑らかで、手に取るとしっとりとした質感です。中唐に陸羽が著した『茶経』において、邢州窯の白磁は銀にも雪にも喩えられましたが、本作は、まさにそのような奥ゆかしい白色を呈しています。その白色と玉縁の口縁が相まって、静かで柔らかな佇まいを見せています。

高台は低く、幅広で環状の特徴的な形をしています。これは日本では「蛇目高台」、中国では玉の璧に似ていることから「玉璧高台」と呼ばれるもので、一説には、茶碗を持った際に、お茶の熱を伝導しにくくするためだったとも云われています。上述の『茶経』で、邢州窯の白磁碗と並び記されている越州窯の青磁碗にも「玉璧高台」が多く見られ、北方と南方、文化圏は異なれど、共有していた時代性が表出した特徴と云えましょう。素文ながらも品格と静謐さが感じられる存在感を供えた作品です。