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加彩馬首 一対

前漢(前2~1世紀)
高 17.4 cm 

Western Han dynasty (2nd century BC–1st century AD)
H. 17.4 cm




SOLD

前漢の頃に作られた一対の馬の頭部です。一方は赤の彩色が今もよく残っており、もう一方は、往時は他色も使われていたと思われますが、残っている胡粉からも白馬のような表現がよく看取され、どちらも精悍な造形描写が際立っています。輸送手段や交通手段、そして兵器にもなり得る馬の良し悪しを見極めることは、当時の人にとっては命にも関わる重要事項の一つでした。凜々しく厳しい顔つきというのは良馬を鑑別するポイントの一つだったようで、そうしたことも本作の力強い顔貌表現に反映しているのかもしれません。

当時、馬が人間ととても近しい関係の貴重な動物だったということもあり、この時代の明器には馬形のものが散見されます。明器としてつくられる馬像は成形上の利便性から頭部と胴部を別々に作られることが往々にしてあり、本作はその頭部だけが伝世したものです。本作を始めとする土偶(明器泥象)は、かねてより考古学的視点で取り上げられることが多いのですが、明器としてつくられた土偶は当時の信仰や慣習を知る史料であるばかりでなく、当時の人の美意識を映し出す彫塑作品という側面をも有しており、鑑賞美術の対象としても大変優れたものです。