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花鳥文玳玻天目

吉州窯
南宋(12~13世紀)
高 5.5 cm 口径 11.2 cm

来歴

Bluett & Sons Ltd., ロンドン.
Hanni Forrester旧蔵.




Jizhou ware
Southern Song dynasty (12th-13th centuries)
H. 5.5 cm Mouth Dia. 11.2 cm

PROVENANCE

Bluett & Sons Ltd., London.
Hanni Forrester Collection.






SOLD

南宋時代に吉州窯で焼成された玳玻天目です。全体的に若干厚みがあり高台から直線的に立ち上がる深さのある器形からは、同時代の建盞と同じような雰囲気が感じられます。露胎の高台は、吉州窯らしく低く控えめになっています。一番の見どころである釉調は美しい光沢が残っており、鼈甲もしくは琥珀を思わせるような透明感と、その釉中に浮かび上がるかのような鮮やかな斑文が大変魅力的です。玳玻天目には近年出土した作例も多く、そうしたものは痂せて艶やかさが失われています。一方で、本作に見られるような光沢は、長らく大切に受け継がれてきた伝世品である証左とも云え、美質もその評価も出土品とは比べようもありません。

日本にも鎌倉時代には将来しており、当時は「鼈盞」と称されていたと『君台観左右帳記』に記されています。その名の通り、外側が鼈甲様で見込みに剪紙をステンシルのように用いて文様が施されたものもあるのが玳玻天目の特徴です。本作も見込みには3つの花鳥文が均等に配されています。

Bluett & Sonsの扱い品でイギリス渡りの品物ですが、それ以前は日本伝世の可能性もあります。建盞と同様に質の良い伝世品の玳玻天目は日本に伝来していたものが殆どで、欧米へ渡った作例も多かったと考えられます。