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白釉劃花魚子地唐草文洗

磁州窯
北宋(11世紀)
高 8.3 cm 口径 29.7 cm

来歴

四代 山口吉郎兵衛(1883〜1951年)旧蔵.

滴翠美術館.




Cizhou ware
Northern Song dynasty (11th century)
H. 8.3 cm Dia. 29.7 cm

PROVENANCE

The fourth Yamaguchi Kichirobei(1883〜1951)Collection.

Tekisui Museum of Art, Ashiya.






宋時代に民間のためのやきものを焼いた磁州窯の作品と考えられます。全体に白土を掛け、白泥の乾かぬうちに線刻で文様を彫り出した、民窯らしい活力に溢れたやきものです。宋磁というと青磁や影青といったミニマルで繊細な、深い精神性を湛える作品が多い中で、磁州窯作品の質朴な魅力には独自の良さがあります。

大ぶりな洗で、実用品らしく胎が厚くしっかりとした作りをしています。この重厚な器上に軽やかな線刻で唐草文と、元来金属器の地紋として使われた魚々子文と呼ばれる丸文が全体にあらわされています。本作の唐草は細くリズミカルで、五代の越州窯などが想起されるような古格を感じさせます。また魚々子を地に配した磁州窯作品は時代の早いものが多いと云われており、そういった点から本作の制作時期が推察されます。見込みには大きく花のような幾何学的な文様があしらわれていますが、どことなくペルシアなどの金銀器のイメージが重なってくるように思えます。磁州窯は民間の窯ゆえに、様々な技法やデザインを取り込む進取の精神があり、それらを上手く纏めて昇華させたことで独自性に溢れた造形やデザイン性の高さを獲得したことが本作からもよく分かります。

この洗は関西の財閥、山口吉郎兵衛の旧蔵品です。戦前期の阪神間には数寄者が多く、中国古美術も多く蒐集されました。白鶴美術館や、この山口氏の滴水美術館などが今も芦屋に残り、往時の熱気を伝えています。そういった中で磁州窯作品は日本人の琴線に触れる雅味を備えており、蒐集家垂涎の中国陶磁でした。