耀州窯は五代ごろから越窯の影響を受けた青磁を多く焼成しました。北宋の時代には「オリーブグリーン」と形容されることの多い深みのある釉調と片切彫りと呼ばれる華やかな彫り文様を備えた青磁や、精緻な範を用いた印花の作品を産しています。それらの要素は耀州窯の代名詞として愛好されており、本作は耀州窯の王道の品とも云えるでしょう。
本作の魅力の一つは見込みの文様の精緻な構成です。三輪の存在感のある牡丹を唐草が囲んで彩るという密度が濃い構図ながら、丁寧に幾何学的に構成されたシンメトリーな文様が浮かび上がっています。器形も端然としてゆるみがなく、精緻な文様を支えるだけに留まらない造形美が完成されています。特に小さな高台と大きく広がる口縁部を結ぶ直線的な輪郭は清廉な印象があり、当時宋磁を愛でていた士大夫たちの謹厳さが偲ばれます。北宋の格調高さを伝える優品でしょう。