Sotheby Park Bernet, 1984年5月, ニューヨーク.
Sotheby Park Bernet, May 1984, NewYork.
唐時代後半期の柔らかな白色の白磁は、唐代の文人陸羽によって「雪のごとし」と形容されたのも頷ける独特の魅力的な表情があります。陶磁史上様々な白磁が生まれていますが、晩唐期の白磁がその高峰の一つであることは疑うべくもありません。胎土もかなり白く精錬され、上質です。
小壺に三足の小さな足が付いたような器形を鍑と呼んでいます。唐代のはじめ頃から散見されるようになった容器で、香料や薬などを入れたと考えられています。唐初期の鍑は獅子のような動物の脚を象った力強い獣脚を持ち、胴部の張りも強い造形をしていましたが、本作のように晩唐期になると力強さよりも曲線的で優美な柔らかいラインとなったことが見て取れます。同時期の越州窯でも近しい形状の作品が見られることから、強い同時代性が感じられます。