マユヤマオンラインコレクションロゴ
Loading...

澱青釉紫紅斑杯

鈞窯
金(12〜13世紀)
高 3.6 cm 口径 6.2 cm

来歴

スウェーデン人蒐集家旧蔵.
日本人蒐集家旧蔵.




Jun ware
Jin dynasty (12th – 13th centuries)
H. 3.6 cm Mouth Dia. 6.2 cm

PROVENANCE

Swedish Collection.
Old Japanese Collection.






SOLD

鈞窯の小杯です。鈞窯の代名詞とも云える澱青釉は大変艶やかで、往時と変わらぬ輝きを今に伝えています。その澱青色に加飾された淡い紫紅釉が、繊細なグラデーションとなって溶け込む様は本作の見どころと云えるでしょう。器形も全体に引き締まって力が外へ逃げない良い形で、高台も小さくよく整っています。小品ですが、鈞窯の良さを全て有した一品と云えます。

鈞窯は汝窯の影響下に発展した窯と言われますが、その実態は謎が多く残されています。紫紅斑の入る作品は鈞窯作品中で特に高く評価されていますが、あまりにはっきりとした紫斑のものは器形などから推して元時代以降の作例が多いとも言われます。そういった作例に通底する色彩感覚においても、平明さや多色を求める傾向がある元代の嗜好などに沿うものと思われます。また鈞窯に特徴的な澱青釉も、淡くしっとりとした気泡の少ない汝窯系のものから、時代を経るごとに気泡が大きく粗雑な印象の釉調に変質していきます。しかし鈞窯系では文様も殆どなく碗や鉢、杯といった普遍的な器物が多いために、時代の異なるものが同種のものとされてしまっている例が多いように見受けられます。

本作はそういった紫紅斑作品中では非常に繊細な趣があり、宋代の風を感じさせる作品です。是非一度ご覧になって頂きたいと思います。