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青磁劃花蓮花文杯

越窯
東晋〜南朝(4〜5世紀)
高 4.1 cm 口径 8.6 cm

来歴

藤岡了一(1909〜1991年)箱書.




Yue ware
Eastern Jin dynasty (4th–5th centuries)
H. 4.1 cm Mouth Dia. 8.6 cm 

PROVENANCE

Box inscription by Fujioka Ryōichi (1909 – 1991).






魏晋南北朝時代に、浙江省越窯で焼かれた青磁、「古越磁」の杯です。小品ながら実際に目にすると重厚で、存在感があり、実寸よりも大きな印象があります。口縁部は薄くシャープな印象ですが、底部にかけてはやや厚さと重みがあり、そのしっかりとした手取りが力強さを助長しています。艶のある釉薬が総体に掛けられており、底部も総釉となった丁寧な作りです。見込みには鋭利かつ柔らかな線で蓮華文が刻まれています。やや釉薬が剥がれ、露体になった部分がありますが、よく焼けた土の変化と、生の刻線が見えるのも一種の変化といったところでしょう。

古越磁が隆盛した南北朝時代には、中国各地で仏教が流行しました。仏教美術が開花すると、仏教において重要な意匠である蓮華は、陶磁器の文様としても取り込まれ、同時代の主要なモチーフとなりました。本作からもそこはかと仏教的な香りが漂ってくるのは、そういった時代性を有しているからでしょう。

陶磁研究者、藤岡了一(1909〜1991年)による箱書を伴っています。