G. F. Giaquili Ferrini 旧蔵.
G. F. Giaquili Ferrini Collection.
内蒙古を中心として中国北方を支配した遼王朝の緑釉陶器です。本作のような容器は遊牧民族の使う皮袋を縫い合わせた水筒を模した器形と考えられます。上部が鶏のとさかのように見える事から鶏冠壺と呼称されています。他の地域には無い独特の器形ゆえに、現代の感覚で見るとかえってモダンなオブジェ的要素も感じられるのも面白いところでしょう。側面には唐草のような文様が刻線で描かれており、この文様も非常に自然な趣があります。高台を見ると赤い胎土に白化粧が施され、糸切りの跡がそのまま残っている点も素朴な遼陶磁の特徴と云えます。
鶏冠壷は遼の全時代を通じて作られているため、数多く作品が遺されています。しかし本作のように上部に双孔が開けられ、側面を取り囲むようにに帯状の凸線が付けられる様式は中期の作例と考えられ、こういった例は多くありません。
旧蔵者G. F. Giaquili Ferriniはイタリア随一の中国陶磁コレクターとして知られた人物です。彼の旧蔵品には、学究的な重要性と美的レベルの高さを併せ持った作品が多くありました。本作もその例に漏れない遼磁の優品です。