後漢時代に造られた緑釉井戸です。漢の緑釉陶には当作品のように写実的で且つ直線的な板を組み合わせた、モダンなデザインを彷彿とさせる器物が存在します。全体的に角がシャープで鋭く、造形は柱が平坦な板状です。組まれた形状は幾何学的でシンプルな構成になっており、現代の目線でも洗練された印象を受けるほどの造形美が際立ちます。
前漢中葉から、中国では褐釉、緑釉を用いた鉛釉陶器が盛んに造られ始めます。緑釉陶は後漢時代に多く造られ、青銅器の模倣の他に建物や人、動物、生活具など現世にある造形が豊富です。特に、井戸や竈は多く造られました。これは当時、家屋祭祀の五祀で井戸と竈が祀る対象としてあったためで、儒教を国教とした漢時代の、日常における宗教的な雰囲気を感じ取ることができます。
落とし蓋を備えた古箱が誂えられており、墨書で『漢時代緑釉井戸』と箱書きがされています。