マユヤマオンラインコレクションロゴ
Loading...

霊壁石

高 20.9 cm

来歴

「清朝宮廷衣装展 併陳 小玩」繭山龍泉堂(於:三越本店), 1974年12月10日〜16日, no. 小玩6.




H. 20.9 cm

PROVENANCE

Shincyō Kyūtei Ishōten Heichin Syōgan [Exhibition of Qing Court Attire with Small Admired Collection], Mayuyama & Co., Ltd. at Mitsukoshi Honten, Tokyo, 10–16 December 1974, no. Small Admired Collection 6.






SOLD

中国では古くから石が愛好されており、最古の書籍である『書経』にも石を貢ぎ物とした記述が残っています。そこに玉のような美を見出し、また深淵なる小宇宙を見出していたのでしょう。石に「鎮宅辟邪(ちんたくへきじゃ)」(家を沈め、邪気を遠ざける)の力があると考えられていたことにも起因するのでしょう。そうした石を好み賞翫していた人の名をあげれば、陶淵明、白居易、蘇東坡、そして徽宗など枚挙に暇がありません。殊に文人(士大夫)にとって、石は書斎には欠かせないものでした。心静かな時をすごす清閑なる空間に、硯や墨などの文房四宝、絵画や書物とともに、本作のような奇石を置き、奇石を通して、市井に居ながらにして異境に思いを馳せていたのでしょう。

文人に好まれた石として太湖石、霊璧石の名がしばしばあげられますが、本作は霊璧石です。光沢ある漆黒色で形状に変化が富むのが特徴で、緻密で硬質なため、叩くと澄んだ高音が響きます。太湖石に比して小型のものも多く、鋭い造形のものも多いため、岩山に見立てられるものも散見します。本作には旧蔵者によって「寿老人」という銘が付けられていますが、頭巾を被り長いひげをたくわえた老人の姿に見立てたのでしょう。鑑賞する角度を変えると様々な表情を見せてくれるので、自分好みの姿を探すのも愉しいでしょう。