Bluett & Sons Ltd., ロンドン.
Morton and Grace Gordon旧蔵.
東京国立博物館寄託, 2022年9月~2023年6月.
Bluett & Sons Ltd., London.
Morton and Grace Gordon Collection.
On loan to Tokyo National Museum, Tokyo, September 2022–June 2023.
祖型の金属器や漆器の高足杯をそのまま写したような、緊張感をたたえた端正な薄造りの杯です。景徳鎮窯は五代十国時代には黄味を帯びた粗製の白磁を製陶していましたが、北宋時代に入ると成形や釉調が向上し、次第に精緻な造形と上質な青みを帯びた釉調の器物を発展させていきました。本作の作られた北宋時代は白磁と釉の青みのバランスが秀逸で、まさに青白磁の完成期と云えるでしょう。雪やみぞれをも想起させる涼しげな印象です。
全体的な造形は花弁を想起させるようなシルエットです。内面の滑らかな窪みと併せ外側面も柔らかな膨らみを見せています。外面には溝が刻まれ、そこに釉が溜まることで青い陰影となり花弁のような全体の立体感をさらに際立たせています。口縁は非常に薄く造られていますが、切込み部分は厚みがあり輪花にリズムを生んでいます。高台も内側を削り非常に薄く造られていますが、しっかりと杯を支え凜とした佇まいです。景徳鎮特有のカオリン土が上質に精錬され、とてもきめ細かく焼締まっている様が見て取れます。
当作品を所有していたMorton & Grace Gordonは、非常に質の高いコレクションを築き上げています。Arthur M. Sackler(1913~1987年)や、Bluett & Sons等の有名なコレクター及びディーラーとも交流や取引があり、当作品もその高い美意識から厳選された一品です。