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青銅金白金象嵌帯鉤

戦国(前3世紀)
長 7.2cm

出展

「中国美術展シリーズ 1 漢代の美術」大阪市立美術館, 1974年, no. 2~118.


所載

大阪市立美術館編 『漢代の美術』平凡社, 1975年, 図版224.




Warring States (3rd century BC)
L. 7.2 cm

EXHIBITED

Chūgoku Bijutsuten series 1: Kandai no Bijutsu, The Osaka Municipal Art Museum, 1974, pl. 2–118.


LITERATURE

Osaka Municipal Art Museum, Kandai No Bijutsu, 1975, pl. 224.






戦国時代に造られた金色と銀色の象嵌によって加飾された帯鉤(たいこう)です。帯鉤とは戦国時代から漢代にかけて盛んに用いられた帯留めの一種で、華麗な装飾が施されたものが多く、また鉤の部分は虎の頭部の意匠による遺例が多く見られます。

穴や淵を作り、そこに他の素材を嵌め込む技法を象嵌と云います。本作はその象嵌技法によって帯状の幾何学的な文様が表現されており、大変洒落た印象です。このデザインは現代的な感覚から見ても全く古さを感じさせない優れた意匠で、どことなく西洋や中近東、エジプト美術といった文化との繋がりも感じられるようです。帯留めひとつから、中国戦国時代の華やかさが推し量れるのではないでしょうか。

本作は1970年代に大阪市立美術館で開催された「漢代の美術」に出陳された品物です。「漢代の美術」は陶磁、漆工、金石、書に至るまで様々な同時代文物を集結し、それらの作品を通じて時代を観ることを主眼に置いた意欲的な展覧会でした。この帯鉤は小品ではありながらも展覧会に選定されたことは、戦国象嵌帯鉤の典型とするべき作品であるという証左と云えるでしょう。