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白銅四鳥文八稜鏡

盛唐(8世紀)
高 1.6 cm 径 16.3 cm

来歴

三代 秦 蔵六 (1884~1932年) 箱書.




High Tang (8th century)
H. 1.6 cm Dia. 16.3 cm

PROVENANCE

Box inscription by the third Hata Zōroku (1884–1932).






SOLD

重厚かつ華麗な、唐の白銅鏡です。切れ味鋭い八稜形の鏡は唐鏡を象徴する形で、円鏡が主流であった中国において新機軸を打ち出したこの形体は、西方のペルシア美術に端を発するものです。また量感に冨み、明瞭に鋳出された花を咥えた鳥たちも、やはりペルシア美術にその原形を見る「花喰鳥」と呼ばれる意匠であり、正倉院御物にも伝わった文様です。こういった禽獣の肉感的な表現は仏教彫刻などと同様にギリシアローマ、ペルシアなどを経由して、唐代に新たに獲得された表現であり瑞々しい魅力に溢れています。この八稜鏡それ自体が、世界に冠した大唐帝国の香りを醸し出す一品と云えるでしょう。

中国鏡は戦国から漢時代に隆盛を極め、魏晋南北朝時代になると低迷します。しかし中華を統一した隋、唐時代になると新たな美質を有して盛行を見せます。国が冨み、安定すると貴族階級の化粧文化も高まり、貴族の持ち物としての鏡は華やかに発展しました。その時流に加え、蝋形を用いて鋳造する技術が高まったことなども加わり、自由な造形や絵画的な意匠が発生しました。ただし、そういった面から大量に製作がなされたこともあり、作品の精粗の差が大きいことも唐鏡の特性の一つでもあります。品格の高さ、型の抜けの良し悪しによる線の厳しさなどを厳しく判断する必要があると云えます。

本品は金工家蔵六の古箱となっており、煎茶趣味や漢学が流行した戦前の関西に将来された雰囲気が感じられます。