山中商会, ニューヨーク, 1965年以前.
Yamanaka & Co., New York, in prior to 1965.
3世紀の終わり頃に作られた、獅子を象った青磁の容器です。はっきりとした用途は不明ですが、墓葬に伴う明器と思われます。本作のような獅子形以外にも、羊、虎、蛙、鶏といった動物のモチーフが多いことも同時代の越窯作品の特徴と云えます。
作品を見ると、牙を剥きだしにした表情や豊かなたてがみなどが力強く表現されており、優れた彫塑作品として鑑賞されるべきものと云えます。さらに尻尾は装飾的で優雅に表され、背面からの見どころとなっています。彫刻的な造形に加えて、完成度の高い青磁釉も呉から西晋頃の特徴でしょう。西晋期の青磁は清澄な透明感がありながらも、器体の凹凸に溜まった釉薬は深い黄緑色となるものです。この釉薬による濃淡が陰影のような効果を上げて、獅子の体躯の肉感や表情などをより一層立体的にしています。
本作は世界的な東洋美術のディーラーとして知られる山中商会の扱った品物です。山中商会は戦前ニューヨーク、ロンドン、北京など世界中に支店を置き「世界のヤマナカ」として知られていました。米国のRockefeller家や、英国王室にまで東洋美術を商いした伝説的な美術商と云ってよいでしょう。この青磁獅子形器には清朝に遡ろうかという非常に立派な唐木の台が付属しており、山中商会が活躍した時代に扱われたである証左とも云えましょう。